Q.
最近疲れやすく、食欲がないので病院を受診しました。血液検査でカリウムが高いと言われました。どんなことに気をつければよいのでしょうか。(72歳、男性)
A.
カリウムが正常よりも高い値となった状態を高カリウム血症といいます。カリウムは心臓を含む筋肉や神経の活動に重要な役割を果たす電解質ですが、血中に過剰に存在する(高カリウム血症)と不整脈を誘発する可能性があります。
体に異常がないにもかかわらず、血液検査でカリウムが高値を示す場合があります。採血の際に手技的な影響から血球成分が破壊(溶血)されてしまった場合などに起こります。これは人為的に発生した高カリウム血症であるため、病的な意味は全くありません。
血清中のカリウムは、腎臓のはたらきを通して尿として排泄されており、その量は厳密にコントロールされています。腎機能障害が起こるとカリウム排泄がうまくいかなくなり、高カリウム血症が引き起こされます。したがって、急性腎不全、慢性腎不全などは高カリウム血症の原因となります。また副腎機能が低下する状況においても高カリウム血症は発症します。その他に大量のカリウムが存在している細胞が大量に破壊されるような状況も高カリウム血症の原因となります。例えば、横紋筋融解症(筋肉が大量に破壊される病気)、やけど、抗がん剤での化学療法中(急性白血病が代表的)などが代表的です。
以上から高カリウム血症の原因について調べることが先決です。原因疾患の精査加療を内科で行ってください。またカリウム摂取を控えることは即座にご自身でできる対処です。併せて内服薬が必要な場合は主治医から説明があります。
高カリウム血症は重篤な不整脈を起こす原因となる病気です。きちんと医師の診断を仰ぎ、治療を受けることが大切です。
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サンポプラ病院院長 南園 宗子先生
■プロフィル
平成6年 山口大学医学部卒業 日本腎臓学会専門医 日本透析医学会専門医 日本内科学会認定医 日本医師会認定産業医(所属学会:日本腎臓学会、日本透析学会、日本内科学会、日本糖尿病学会) |
(2019年3月13日 サンデーうべ掲載) |