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この街この人

地元やまぐちでがんばる人、挑戦する人を紹介します

第9回 眼鏡をかける人の個性を引き出すお手伝いを

眼鏡店オーナー 奥瀧 隆志さん




 1955年に時計店として創業した「おくたき」。93年から眼鏡を主力商品とし、2015年には外装、内装ともに店舗デザインを一新してリニューアルした。オーナー自身が納得できる"お眼鏡に合った"眼鏡の提供に努めている。
 東京や大阪の眼鏡店での修行を経て30歳で帰郷。修業で培った経験を活かしながら、父忠志さんと二人三脚で店舗運営に勤しんだ。2015年に忠志さんが他界したことをきっかけに「原点回帰」を店舗理念に掲げた。誰もが気軽に集える、地域に根差した店舗づくりを心掛けている。
 店内には、スタンダードなデザインから個性的なデザインまで種類豊富にディスプレイされており、流行にとらわれず奥瀧さん自身が納得できる商品を厳選して取り扱っている。


 中でもベルギー発のブランド「theo」(テオ)は思い入れの強い商品。取引条件などから地方で取り扱うには高嶺の花と言われているブランドだが、取引を始めることができたのは、theoの日本担当アンバサダーであるクルト氏と音楽を通して意気投合できたからだと笑顔をのぞかせた。奥瀧さんにはミュージシャンの一面もある。アメリカのレーベルからCDをリリースするバンドのベーシストとして活動していた。また音楽雑誌のライターとしても活動中。日本人ではなかなか知り得ない知識を持っていることをクルト氏に認められ、県内唯一の正規取扱店となった。仕事とは一線を置いていた音楽活動が仕事に繋がったことは自身の転機となり、今後に活かしていきたいという。


 独自のスタイルで地域に根差した店舗づくりができているのは、「商売は自分が楽しまないとあかんで」という言葉に支えられている。父親の葬儀で叔父にかけられた言葉だ。帰郷してからの25年間でさまざまな苦楽を味わってきた。たくさんの人に助けられもした。だからこそ人が集える店にしたいと思うようになった。対話を重視して、求めるものや個性を引き出せる眼鏡を提供していきたいと話す。
 今後はイベントなどの企画・運営や、ライター経験を活かしてコラムなどを掲載する新聞の発行も計画している。

(サンデーうべ 2018年7月13日号掲載)