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■第3回■
「痛くない歯を治療して痛くなる場合」
今、私の歯科医の友人が数日前から歯肉が腫れ、苦しんでいるそうです。前回説明しました歯周病(歯槽ノーロー)の急性炎症です。抗生剤と鎮痛剤にもお世話になっていて、勤務している先生や衛生士のみなさんに、歯科医なのに…と笑われているそうです。それでも毎日、来院してくる患者さんには、何くわぬ顔をして、歯周病の説明や1本1本の歯の大切さを熱心に教えています。
こういう風に歯周病の事を熟知している歯科医でも、こういう状況に落ち入るのですから、皆さんが突然歯周病で腫れて来院されるのもよくある事なのです。そうならない為にも、日頃からの歯科での検診(歯槽ノーローの検査、歯のお掃除等々)が重要なのです。
他の歯科医院から治療の途中で移ってきた若いサラリーマンが「元々痛くもない歯をいじられて痛くなった」と前の歯科医の苦情を言います。
歯科医は、患者さんがいう前の歯科医の悪口を一般に割り引いて考えます。「上手で痛くない」と患者に評判のいい治療が、X線写真を撮ってみると、とんでもない粗悪なものだったり、逆にやり直し、やり直しで下手な治療だったと患者が訴えるので見てみると、しっかりと処置してあることがあります。
この若いサラリーマンの場合は、徹夜麻雀をしたのがきっかけでした。歯の根の治療の後、睡眠不足だとほぼ決まって痛みが出るものです。
歯の噛み合せの部分が虫歯になって大きく穴が開いて、上の歯と咬んでいない場合もその根っこを治療すると急に痛みが出る確率が高い様です。その他風邪を引いて体力が衰えている時も急に痛みが出ることがあります。
根っこの治療はすでに「神経」を取っているので、痛みがないと思われますが、こんな悪条件があると、根の先の病気がひどくなって痛みが出ます。
神経を取る治療で取り残している場合も痛みが出ます。その痛みはすぐに治まるのであらかじめ説明していればトラブルは起きなかったでしょう。
治療前でも、治療途中でもわからない事、不安に思った時は納得いくまで質問して下さい。そこから信頼関係が生まれます。
[講師]
コスモ歯科クリニック院長 松沢憲治 先生
■松沢先生プロフィール
山陽小野田市 丸久厚狭店1F コスモ歯科クリニック院長 |
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※この特集は、2005年にサンデー小野田に掲載されたものです。 |