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■第9回■
腎臓と高血圧
高血圧の95%以上を占める本態性高血圧と腎臓は切っても切れない密接な関係にあります。高血圧で、『塩分を減らして下さい』と言われた覚えのある方も多いと思います。
高血圧になる原因はさまざまですが、食生活、特に塩分の取り過ぎの影響が大きいと言われています。なぜ塩分が高血圧と関連するのでしょうか?
塩分は人の体に必要不可欠ですが、多く取り過ぎると体内にナトリウム(Na)と水分が貯まり、体液量が増え、血圧が上昇します。体液量が増えると、血圧を上げる事で、腎臓での濾過量を増やし、貯留したNa・水分を排泄します。このように高血圧の悪循環に陥るわけです。
高血圧状態が長く続くと濾過フィルターである腎臓の糸球体の硬化・線維化を生じ、腎臓自体が固く小さく萎縮します(腎硬化症)。腎硬化症になると、Na・水分の排泄能力が衰え、体液量の増加を生じ、さらに高血圧となります。腎硬化症が悪化すると、腎不全となり、最終的に生命を維持するために人工透析が必要となってきます。腎機能の悪化を食い止め、高血圧の悪循環を断つためにも高血圧治療が必要なのです。
高血圧の30-40%の方は、減塩食にすることで、降圧剤を使わなくても、血圧が著明に低下するはずです。日本人の塩分摂取量は1日平均12gを超え、欧米(5〜7g程度)に比べて高くなっています。まずは、減塩を心掛けてみましょう。
普段の食事から塩分を減らす工夫としましては、
●加工食品・インスタント食品・ファーストフード・漬物などは控えめに。
●しょうゆ、味噌、食塩などを減らし、酢や香辛料などを用いる。
●汁物は具を増やして汁を減らし、天然だしを使う。
●カリウムや食物繊維の多い食品を食べる。
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[講師]
わたなべ泌尿器科院長 渡辺悦也 先生
■渡辺先生プロフィール
わたなべ泌尿器科(小野田市中川)院長。宇部生まれ宇部市育ちの40歳。日本泌尿器科学会認定の専門医、指導医。日本癌学会、日本癌治療学会会員。 |
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※この特集は、2005年にサンデー小野田に掲載されたものです。 |