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■第6回■
膀胱炎の原因と予防
女性ならば誰でも一度は経験すると言われている病気が『膀胱炎』です。膀胱炎とは、膀胱の粘膜が炎症を起こしている病気で、原因として、細菌(ばい菌)が関与する場合を細菌性、関与しない場合を非細菌性と言います。
通常の膀胱炎は、病気のない膀胱に細菌が入って起こる『単純性細菌性膀胱炎』で、症状は、排尿時痛、残尿感、頻尿が多く、膀胱粘膜の血管が切れると肉眼的血尿が出ることもあります。では、どうして女性で多いのでしょうか?
それは、女性は尿道が短く、細菌のいる腟や肛門と尿道との距離が近いことが挙げられます。しかし、膀胱の粘膜には細菌に対する防御力が備わっているので、普通の状態であれば、膀胱に細菌が入ってもすぐには膀胱炎にはなりません。ところが、トイレを我慢して膀胱が伸びきったり下腹部が冷えたりすると膀胱内の血流量が減って防御機構が弱くなり、細菌が繁殖して膀胱炎になってしまいます。また、ストレスなどで体が疲れている場合も免疫力が落ちて膀胱炎にかかりやすくなります。働く女性の5人に1人はかかったことがあると言われるのも、これらのためでしょう。
更年期の女性では、女性ホルモンの減少による細菌への抵抗力が低下するために細菌性膀胱炎を起こしやすくなり、また、女性ホルモンの減少は膀胱粘膜を薄くして、粘膜の下の組織が出血しやすくなるため、非細菌性膀胱炎も起こしやすくなります。
季節の変わり目は体調を崩しやすく、膀胱炎を起こしやすくなります。膀胱炎の起こるメカニズムを知ることが予防につながります。トイレを我慢しない、下腹部を冷やさない、ストレスをためない、抵抗力が落ちている時(風邪をひいている時など)には水分をよく取ることなど気をつけましょう。
次回は、「膀胱炎の治療と治りにくい膀胱炎」を予定しています。
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[講師]
わたなべ泌尿器科院長 渡辺悦也 先生
■渡辺先生プロフィール
わたなべ泌尿器科(小野田市中川)院長。宇部生まれ宇部市育ちの40歳。日本泌尿器科学会認定の専門医、指導医。日本癌学会、日本癌治療学会会員。 |
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※この特集は、2005年にサンデー小野田に掲載されたものです。 |