|
 |
■第3回■
前立腺癌(がん)の腫瘍マーカーPSAについて
2002年12月発足の「三波春夫PSAネットワーク」や天皇陛下のニュースなどでPSAという言葉を耳にされたことがみなさんにもおありでしょう。前立腺癌の検診で行われる検査です。
PSAとは前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen)の英語の頭文字を並べた略語で、正常の前立腺で作られ、精液中にでてくるタンパクです。精液をさらさらにする作用があると言われ,そのまま通常はおしっこにでて、血液中にはほとんどでません。血液検査で測るPSAは,本来前立腺内に分泌されるものが血液中に『もれでた』ものです。すなわち,血液中に『もれでやすい』状況になると血液検査での測定値が高くなるわけです。
では、どういった場合にPSAが上がるのかと言いますと、前立腺癌の場合が最も多く、そのため腫瘍マーカー(癌の診断に有用な検査)として用いられています。しかし、前立腺肥大症でPSAの産生自体が増えたり、急性の炎症によって形が崩れ血中に放出されたりして上昇することがあるため、『前立腺癌特異的』なものではありません。
PSAの正常値としましては、一般的に4 ng/ml未満という値が用いられています。4〜10は、グレーゾーンと呼ばれ、癌が発見される率が20〜30%です。10以上の場合には、約50%で癌が発見されますが、急性前立腺炎の場合では100近くまで上昇する事がよくあります。逆に、PSAが2.5〜4の場合でも、最近の報告によりますと、2〜10%の癌が発見されています。
PSA検査は、採血時の身体状態(排尿状態も考慮にいれる事が大事)、前立腺自体の画像的所見(形の崩れや大きさなど)、時間的変化(癌の場合は上昇していく事が多い)などを同時に考えて、その値を評価する事が重要になります。
 |
[講師]
わたなべ泌尿器科院長 渡辺悦也 先生
■渡辺先生プロフィール
わたなべ泌尿器科(小野田市中川)院長。宇部生まれ宇部市育ちの40歳。日本泌尿器科学会認定の専門医、指導医。日本癌学会、日本癌治療学会会員。 |
|
※この特集は、2005年にサンデー小野田に掲載されたものです。 |