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■第2回■
「腎臓と糖尿病」について
2月1日〜7日は生活習慣病予防週間でした。そこで、今回は腎臓と糖尿病についてのお話をします。
糖尿病は高血糖によって全身の血管をぼろぼろにする病気で、三大合併症の一つが糖尿病性腎症です。
腎臓は尿をつくる臓器ですが、体の中に必要な物を残し、不必要な物(老廃物)を捨てるフィルターの仕事をしています。高血糖で腎臓の中の血管が障害されると、フィルター機能が壊れ、体内に老廃物がたまり、腎障害が進みます。最後には、腎不全(尿毒症)となり、機械で毒素を取り去る血液透析が必要となります。
糖尿病が原因で透析療法を受ける人は年々増えてきており、現在では、全国23万人の透析患者さんの3割が糖尿病性腎症によるものです。糖尿病性腎症は自覚症状のないまま,じわじわと進行していき、タンパク尿、体がむくむ(浮腫)などの症状がでてきた時には、腎症が進んだ状態で、治療も進行を遅らせることが中心となります。
このため、早期に腎症を発見することが重要で、それには、尿の微量アルブミン検査が有効です。この検査は、新しい検査方法ですが、一般の尿検査の方法で可能です。微量アルブミン検査が陽性となる前後から透析までには、五つの段階(正常期、早期腎症期、腎症期、腎不全期、透析期)があり、それぞれの段階によって,薬物療法,食事療法,血糖・血圧の管理が微妙に異なってきます。
自覚症状がなくても、(1)血糖管理(特に食後の高血糖の改善)をきちんとする、(2)定期的に尿検査を受ける、(3)塩分やタンパクの摂り過ぎに注意する、など腎臓にやさしい生活を実行することが、糖尿病による腎臓障害を予防するうえで大変重要となります。泌尿器科は腎臓の専門科の立場から、糖尿病腎症の早期から透析期までの全段階において、ご相談をお受けしています。
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[講師]
わたなべ泌尿器科院長 渡辺悦也 先生
■渡辺先生プロフィール
わたなべ泌尿器科(小野田市中川)院長。宇部生まれ宇部市育ちの40歳。日本泌尿器科学会認定の専門医、指導医。日本癌学会、日本癌治療学会会員。 |
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※この特集は、2005年にサンデー小野田に掲載されたものです。 |