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■第11回■
尿漏れ(尿失禁)について
寒い時期になると、くしゃみや咳・冷えなどから尿漏れ(尿失禁)が増えてきます。
尿失禁は主に高齢者で起こりますが、若い成人でも5人に1人がある程度の尿失禁を経験し、高齢者では3人に1人の割合になります。男性より女性に多く、腹圧性尿失禁においては、^代以降の女性の3人に1人、お産経験者の2人に1人が悩んでいると言われています。
症状によって、尿意を感じた時に我慢できずに漏れてしまう『切迫性尿失禁』、セキやくしゃみなどお腹に力が入った瞬間に漏れてしまう『腹圧性尿失禁』、様々な原因で膀胱の残尿が多くなり尿が外に溢れ出てしまう『溢流(いつりゅう)性尿失禁』などに分類されます。
治療はタイプや原因によって異なりますが、大半は治療によって完治するか、症状を大幅に軽減することができます。
『切迫性尿失禁』で効果があるのが、膀胱をにぶくさせる薬や尿道を締める薬による“薬物療法”です。
『腹圧性尿失禁』の軽いタイプでは、“骨盤底筋体操”が効果的です。これは、仰向けや座った姿勢で行う簡単な体操ですが、効果が出るまで数ヶ月かかるため、根気良く続けることが必要です。最近では、効率よく骨盤底筋を鍛えるのに干渉低周波電流を用いる治療も保険適用となり、これは副作用も無く7割以上の方において改善がみられる、安全かつ簡単な全く新しい治療法として注目されています。
『腹圧性尿失禁』の重症タイプや骨盤底筋体操・薬物治療を数ヶ月続けても効果が出ない場合には
“手術”という選択肢があります。コラーゲンを尿道周囲に注入する方法も盛んに行われましたが、再発率が高く、最近では、日帰りもしくは数日入院で行うことができる、メッシュ状のテープで尿道の支えを補強する手術(TVT手術)が主流になっています。
尿漏れで困っている方は“恥ずかしいから”とあきらめずに、相談してみてください。
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[講師]
わたなべ泌尿器科院長 渡辺悦也 先生
■渡辺先生プロフィール
わたなべ泌尿器科(小野田市中川)院長。宇部生まれ宇部市育ちの40歳。日本泌尿器科学会認定の専門医、指導医。日本癌学会、日本癌治療学会会員。 |
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※この特集は、2005年にサンデー小野田に掲載されたものです。 |